【Creator Interview】STEPHENSMITH

2013年、福岡にて結成されたトリオバンド。ブルース、R&B、AOR などルーツミュージックを現代へ昇華した楽曲と、スリーピースならではのミニマルなスタイルながら独自の空間を構築するサウンドによって、生バンドであることを強く意識させるライブを特徴とする。2014、15 年には長野で開催の「りんご音楽祭」に2 回にわたり出演、2016 年には福岡「CIRCLE」への出演を果たした。 2016年10月には初の全国流通盤「Sexperiment」をリリース、2017 年には拠点を東京に移し、精力的なライブ活動を展開している。

今年の6月2日にカレッジチャート団体『CRJA(COLLEGE RADIO JAPAN ASIA / ART)』のライブ・イベントで出会った新しい才能に心を奪われた。70年代と“いま”を紡ぐ、オルタナR&Bでブルージーな3人組バンドSTEPHENSMITH(スティーヴン・スミス)だ。キーワード的には、ディアンジェロやフランク・オーシャン、フィッシュマンズ、松本隆などが浮かびつつも、メンバーと話していると時代感や枠にとらわれないオリジナリティを感じた。今夏、活動の拠点を福岡から東京へ移した彼らに話を聞いてみた。

―1stアルバム『Sexperiment』は、とても丁寧にレコーディングされた1 枚だと思いました。

CAKE:レコーディングは慣れてなかったこともあって、1年くらいかかっています。友人のエンジニアの家に通いながら作った宅録なんですよ。家がちょっと遠かったのと、あとやっぱり何回も試行錯誤して作り上げていきました。

――人によっては今作にシティポップなセンスを感じたり、または今を感じるインディR&Bなブラックミュージクなテイストを受け取ると思うんです。しかしながら日本語歌詞へのこだわりも感じられて、幅が広いんですけどオリジナリティが確立されているのが面白いなと。アルバムを作るにあたってテーマはありましたか?

CAKE:アルバムにコンセプトは特になく、楽曲ごとにそれぞれで作っていきました。とにかく今ある曲を録ろうっていう感じだったので。タイトルにexperiment というワードを入れたのは実験性あるアルバムにしたかったんです。聴いてすぐにわかるものじゃなくて、何度も繰り返し聴ける盤にしたかった。

―確かに聴くたびに発見のあるアルバムですよね。

CAKE:それを意識しました。エンジニアの子もバンドをやっていて仲が良くて、きっかけはその子が一曲録りたいっていってくれたんです。それが1 曲目のインストの曲「D.S.D」。もともと歌詞があったんですけど、アルバムがインストからはじまるのもいいねって。

―どんな音楽が好きなメンバーなんですか?

CAKE:たぶんみんなバラバラ。僕はブラックミュージックが好きで。親が趣味でバンドをやってて洋楽好きだったんです。ウェストコーストとか好きで。ギターも普通に家に置いてあって、それで弾きはじめました。いま特に好きなのは、ディアンジェロですね。衝撃を受けました。個人的なルーツは、スティーヴィー・レイ・ヴォーンというブルースのギタリスト。ブルースが好きで影響を受けています。邦楽だったら山下達郎さんとか、海外からの影響が大きなアーティストが好きですね。

TARO(Ds):僕はナンバーガールが好きでした。その影響もあってけっこうガツガツしていたドラマーだったと思います。その後、CAKE に音楽を教わっていろいろ聴くようになりました。自分のドラムのスタイルも変わっていきましたね。
OKI(B):中学くらいから邦楽ばっかり聴いてて。the Pillowsがきっかけで高校生のときにギターをはじめました。ずっと弾き語りをやっていたんですが、STEPHENSMITHと対バンしてめっちゃいいなって。それで、ベースが抜けますって話があったので、ベースやったことなかったんですけど加入させてと(笑)。ライブを観ていたら、俺がベースをやったらなんか変わるかもって思う瞬間があって。

―それこそ、STEPHENSMITHはリズムがかっこいいバンドだと思います。リズムへのこだわりは強そうですよね。

CAKE:そうですね。僕は音楽はベースとドラムだと思っているタイプなんで。デモを作るときもドラムとベース、いわゆるビートから作って上に乗せていく感じなので。テンポ感にとにかくこだわります。

―日本の音楽シーンって、今ものすごいギターバンドのブーム感あるじゃないですか? どんな風に感じられていますか?

CAKE:対バンしたいですよね。そして、ビート感が全然違うと思うので、お客さんがノッてきたとこを落としてやりたいな(笑)。

―こういう気持ちよさもあるんだぞ、みたいな?

CAKE:そうですね。リズムとベースへのこだわりの気持ちよさが伝わってくれたら嬉しいなと。

―誤解が進んでるからあれですけど、シティポップが当時と今ではジャンル感としては受けて側にズレがあって、ややこしい流れになってきてますもんね。

CAKE:そこからずっとぬけて“スロウタッチ”というジャンルでやっている感覚です。誰も聴いたことのないジャンルとして。

―なるほどね。レコーディング音源では、サンプリングやエディットの使い方がユニークでしたが、ライブでは生音を大事にされているようにも感じました。パソコンなどラップトップを使ってのライブのイメージは?

CAKE:それは頑固にしない(笑)。
TARO:ライブは楽器だけでこだわりたいんです。
OKI:ライブバンドでありたいんですよね。
CAKE:やっぱりスリーピース・バンドっていってライブのとき4 人とか、そういうの嘘じゃないかと思ってしまうんです。なので3 人だけでやれることをやりたいですね。

STEPHENSMITH
2013年、福岡にて結成されたトリオバンド。ブルース、R&B、AOR などルーツミュージックを現代へ昇華した楽曲と、スリーピースならではのミニマルなスタイルながら独自の空間を構築するサウンドによって、生バンドであることを強く意識させるライブを特徴とする。2014、15 年には長野で開催の「りんご音楽祭」に2回にわたり出演、2016年には福岡「CIRCLE」への出演を果たした。 2016年10月には初の全国流通盤「Sexperiment」をリリース、2017 年には拠点を東京に移し、精力的なライブ活動を展開している。


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FUKUOKA CALLING編集部

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